【将棋 x 小説】 村上春樹『騎士団長殺し』を読み始めた
将棋の定跡を勉強しすぎても頭が固くなると思って、たまに小説を読んでいる。今回読み始めたのはいま話題の、村上春樹の『騎士団長殺し(第一部 顕れるイデア編)』である。まだ数章しか読んでいないのだが、正直言って面白い(細かな謎がちりばめられていて、面白くなりそうな雰囲気が溢れている)。
この小説は、メタファーが多く村上春樹作品の集大成、というような評判を聞いたので、小説を読む前に自分で賭けをしてみた。それはどういう賭けかというと、この小説のなかに将棋に関する喩えが出てくるかどうかというものだ(=暇人と書いてそのまま「ひまじん」と読む)。その結果はというと、物語の数章を読んだだけで将棋に関する喩えが出てきたのだ(賭けに勝利! ごほうびは特にない)。ネタバレにならないようにその部分を引用してみる。
原因のない結果はない。卵を割らないオムレツがないのと同じように。将棋倒しのように、一枚の駒(原因)が隣にある駒(原因)をまず最初にことんと倒し、それがまた隣の駒(原因)をことんと倒す。それが連鎖的に延々と続いていくうちに、何がそもそもの原因だったかなんて、だいたいわからなくなってしまう。あるいはどうでもよくなってしまう。あるいは人がとくに知りたがらないものになってしまう。そして「結局のところ、たくさんの駒がそこでばたばたと倒れました」というところで話が閉じられてしまう。これから語る私の話も、ひょっとしたらそれと似たような道を歩むことになるかもしれない。
うーん、さすが村上春樹先生、将棋倒しを喩えにもってきた。日曜日の昼下がり、このままこの物語『騎士団長殺し』を読み進めていこう。将棋の定跡の勉強は後回しだな、、まさに『棋譜勉強ごろし』な小説だ(=冴えないシャレ)。
【将棋ウォーズ】ついに1000勝(857敗)達成、1級の達成率は31.6%
休日に将棋ばかりしていては何なので、たまに河原のジョギングコースでゆっくりと走ることがある。そのコースでは、箱根駅伝にも出場する大学の陸上部が練習していることがあって、先導している自転車と6~7人のランナーの集団にすごいスピードで抜かれる。まあトップレベル(いやもしかしたらその駅伝部のBチームとかCチームかもしれない)の学生ランナーに抜かれるのはいいのだが、この前、抜かれるときに先導の自転車に乗っているマネージャーらしき人に、
「ランナー通ります!(コース空けてください)」
と後ろから声をかけられた。言っとくけど、わたしもランナー(ジョガー)だよ。
そんなこともあって、アマ上段の人から見たら私の将棋なんて将棋のうちに入らないかもしれないな、と卑屈になりかけたのだが、先日、将棋ウォーズでついに1000勝(857敗)を達成した。
1級の達成率は31.6%となった。
初段になることが当面の目標で、勝ち数は意識していなかったのだが、やはり一つの区切りではある。得意囲いが「矢倉囲い」で0.13級、得意戦法が「矢倉棒銀」で0.37級。どれだけ矢倉で戦ってるんだ自分。そして恒例の棋力レーダーチャート。
相変わらず戦術力が弱い(この前まで戦術力1.2だったが今回1.6にアップ!)。石田流覚えて戦術力アップしてやるぞ!(この週末は定跡の勉強できなかったんだが…)
【将棋xバレンタイン】「時には甘い一手を」
バレンタインデーが2017年もやってくる。今年はバレンタインデーを待たずしてチョコを1つ贈られた(身内からであるが)。
その名も「将棋 デ ショコラ(Shogi de Chocolat)」。一心堂本舗の「養生一品」だ。
日本人であれば誰もが一度は手にしたことがある将棋の駒を精巧に原寸大で再現したチョコレートです。実際の駒と同様、王将・飛車・角行・金将・銀将・桂馬・香車・歩兵の8種類を1セットとして商品化しました。
(この写真は自分で撮影)
写真の撮り方がいまひとつな感じがするが、高級感あふれるチョコレートだった(お味のほうはオーソドックスにおいしい)。裏側に成駒の文字があるかどうか気になるところだったが、なかった!
しかし、こういう将棋関連の商品は応援したくなる。自分へのご褒美?としてさらに2~3個買ってみようかなと思った矢先、将棋好きの旦那さま、彼氏、ご友人、あるいはファンの棋士の方に贈ってみてはいかがだろうと推薦しようとおもった矢先、一心堂本舗のサイトをみたところ「品切れ」の文字があった(2/12時点。東京将棋会館、東急ハンズ、ロフトなどでの販売場所ではまだ残っているのだろうか)。残念ではあるが、将棋関連の商品が売れるのはいいことだ。
(この写真は一心堂本舗のサイトから引用)
ちなみに、この8種類の駒のチョコレート、どの駒から食べるか迷った。さすがに王から食べるものではないだろうとか、飛角から食べるのも寿司屋でいきなり大トロから食べるようで粋ではないのだろうかとか、歩から食べるのが定跡なのだろうかとか、長考した挙句、特に理由はなく…「香」からいただいたのだった。
【定跡x三間飛車】石田流を学んでみることにした
三間飛車をマスターするといっても、三間飛車のバリエーションはいろいろある。まずは、三間飛車のなかでも石田流について勉強してみることにした。互いに角道を開けた後、3手目「▲7五歩」とするのが石田流への第一歩のようだ。
1手目 | ▲7六歩 |
2手目 | △3四歩 |
3手目 | ▲7五歩 |
これまで居飛車しか指したことがなく飛車先の歩を地味に前に進めていた身にとって、この▲7五歩というのは、小学生のときに人の家の庭を横切って下校するような、ドキドキ感をともなった新鮮味とほんの少しの背徳感がある。
ここで居飛車側(後手側)には主に2通りの指し方があるようだ(実際にはもっとたくさんある)。
- △8四歩
- △8八角成
△8四歩は言ってみれば、下校時に人の家の庭を横切ったらその家の軒下を棲み処とする子猫がちょっこり出てきたようなイメージだろう。
一方の△8八角成は、その家の人に「人の家で何してるんだ、おみゃー(お前)」と怒鳴られるようなイメージかもしれない。
まずは4手目「△8四歩」とされた場合をみていこう。さらに5手目に先手が満を持して「7二飛」と振り、後手が「8五歩」とした場合を考える。
1手目 | ▲7六歩 |
2手目 | △3四歩 |
3手目 | ▲7五歩 |
4手目 | △8四歩 |
5手目 | ▲7二飛 |
6手目 | △8五歩 |
何も知らない子猫(歩)が庭(8五)に出てきて、見知らぬ小学生(7五歩)に体をスリスリ寄せながらすれ違うイメージだ。
さあ、ここで先手の作戦は主に3通りある。
- ▲7四歩
- ▲7六飛
- ▲4八玉
まずは一番激しい展開になりそうな、▲7四歩が面白そうだ。
7手目 | ▲7四歩 |
▲7四歩は、おそれを知らぬ小学生が、人の家の庭に入るだけでなく人の家の縁側まで来てしまったイメージだ。
ここで後手の対応は2つに分かれる(実際にはもっとバリエーションがある)。
- △7四同歩
- △6二銀
8手目 | △7四同歩 |
を見ていく。人の家の縁側まで来た小学生が家のひとにつかまってしまったイメージだ。
△7四同歩とくれば、先手はその歩を飛車で取る。
9手目 | ▲7四同飛 |
小学生の弟を救いに高校生のお兄さん(飛車)が人の家にやってきたイメージだ(そろそろこの例えがつらくなってきた…)。
そうくれば後手は△7三歩と守るだろう。
10手目 | △7三歩 |
さあ、飛車は戻ったほうが良さそうだが、戻るとしたらどこがいいのか(次回へつづく)。
ふう、やはり定跡を覚えるのは場合分け(枝分かれ)が多くて大変だ(ブログに書き留めるのもそれなりに大変だということが今回分かった)。まあそれが将棋の面白さ、深さということで少しずつ続けていきたい。
【将棋ウォーズ】初段昇段に壁、棋力レーダーチャートをみてみる
2017年3月末までに初段になるべく、雨の日も風の日も将棋ウォーズに勤しんでいるわけだが、達成率がなかなか上がらない。1月も過ぎ去ろうとしているので、現時点の将棋ウォーズのレーダーチャートを記録しておこうと思う。
1級 達成率 18%
922勝798敗(.536)
達成率が伸びない。とはいえ、一時期は達成率10%未満で低空飛行をしていたことを考えると、達成率20%近くになって降級の危機を脱したことは良しとしよう。
さてレーダーチャートである。
守備力(2.9)はなかなかいいが、攻撃力(1.7)は低い。戦術力(1.2)に至ってはひどい有様だ。
しかし、今の自分の戦術は2通りしかないから仕方ないのかもしれない。相手が居飛車の場合は自分も居飛車で矢倉棒銀、相手が振り飛車できた場合は自分は居飛車で4六銀左戦法、つまり
自分先手後手 | 相手戦法 | 自分が選択する戦法 |
---|---|---|
どちらでも | 居飛車 | 居飛車(矢倉棒銀) |
どちらでも | 振り飛車 | 居飛車(4六銀左戦法) |
の2通りしかないので、戦術力が低いと見なされているのだろう。
という点が反省点だ。
ちょうど2017年は新しい戦法に取り組もうと思っていた。これらの反省点をいかして、振り飛車にチャレンジしようと思う。振り飛車を学ぶとき、初学者は攻守のバランスが良い四間飛車を学ぶのが良いとされているようだ。実際、将棋ウォーズでも四間飛車を指す相手は多い。
しかし、四間飛車を指す人が多いということは逆に言えば四間飛車の狙いや対策にも慣れている相手が多いということである。将棋ウォーズの級位者は自分も含めて三間飛車の狙いや対策について十分ではないのではないか? その仮説が正しければ、級位者と戦うときに三間飛車で立ち向かうことは大きな利点になる。
そんなわけで、まずは三間飛車の定跡を学び、自分が先手の時には三間飛車でいこうと思う。
自分先後 | 相手戦法 | 自分戦法 |
---|---|---|
先 | 何でも | 三間飛車 |
後 | 居飛車 | 居飛車(矢倉棒銀) |
後 | 振り飛車 | 4六銀左戦法 |
思えば、将棋ウォーズ1級昇級のときにも壁はあった。
kurakuen.hatenablog.com
粘り強く初段を目指していこう。
【将棋x映画】『聖の青春』ロケ地巡り、「更科食堂」番外編、「OK壱番街」
映画『聖の青春』のロケ地巡りで関西将棋会館近くの「更科食堂」を訪れたことは前回書いた。「更科食堂」は大阪・福島駅ほど近くのガード下にある。そして「更科食堂」の入るフロアは「OK壱番街」というらしいのだが、何だか昭和の香りがぷんぷん匂ってきそうなお店が軒を連ねている。
そのフロア図を見てみよう。「更科食堂」は上段の右から2番目だ。
よく見ると、焼き鳥・鳥料理のお店が3軒もある。3軒あって飲まぬことなしだ(「三桂あって詰まぬことなし」にかけてみた…)。上段右3に「とり藤」、上段左2に「正や」、下段右1に「りときや」、うん?「りときや?」まさか、焼き鳥を反対から読んだものを店の名前にしてしまったのだろうか。だとしたら大胆過ぎる…ふぐ料理店の店名が「ぐふ」になっているようなものだ。
もし、大阪・福島のそばで働くことがあるようだったら、ぜひ帰りに一杯ひっかけたいお店たちだ。焼き鳥で軽く一杯、更科で焼き魚定食、お腹一杯になったところで、スナックかおり(下段左2)で一曲(カラオケ施設があるかどうかは未確認)という流れが定跡になるだろう。しかし、よくよく見ると下段左3の「多呼おどり」っていうお店も気になって仕方がない。何のお店だ、ディープすぎる。
そんな大阪・福島の「OK壱番街」を、今晩も酔客たちが練り歩いているのだろう。
【将棋x映画】『聖の青春』のロケ地、「更科食堂」にいってきた
もう2カ月近く前になってしまったが、村山聖がよく訪れた、関西将棋会館のそばにある「更科食堂」にいってきた。『聖の青春』のロケ地巡り第一弾である(いまのところ第一弾のみだが、そのうち関西将棋会館にも足を踏み入れたい)。
ところで、2016年11月に放映された『にっぽん紀行 29歳で逝ったあなたへ~東出昌大 伝説の棋士を巡る旅~』というNHKのドキュメンタリー番組で、『聖の青春』で村山のライバルだった羽生善治役を演じる東出昌大が出演した。その番組の中で東出はこの「更科食堂」を訪れたのである。そして東出は一番奥のテーブルの壁側の席に通された。
そして今回、私も「更科食堂」の一番奥のテーブルの壁側の席に通された。 村山聖がよく座った、そして羽生善治役の東出昌大が番組で座った、「更科食堂」の一番奥のテーブルの壁側の席に通されて私も座ったのである(だから何だ、と言われそうであるが)。
メニューはたくさんあって迷うところだ。村山聖はよく焼き魚定食を食べていたというから、さば塩焼き定食を頼むのが本筋なのかもしれない。しかし、この後、私は大阪梅田に戻り、関西人のソウルフードと噂される「インディアンカレー」の大玉(大盛り、玉子付き)を食べる予定だった。そこで、ごはんは頼まずに、単品の「いわしフライ」「もやしの玉子とじ?」と、あとは瓶ビールという大駒を繰り出して更科食堂を攻めたのである。
普通においしい。よくある定食屋の雰囲気ではあるが、どことなく心落ち着くお店であった。村山聖がよく訪れた、というのも少しだけ分かるような気がした。
次にいくときは焼き魚定食を食べてみよう。