歩ぞろいの手駒たち

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【将棋x映画】 映画『聖の青春』を公開初日に見に行った

「東の羽生、西の村山」と並び称されながら29歳という若さで亡くなった伝説の棋士村山聖の姿を描いた映画『聖の青春』。公開初日の11月19日土曜日、用事があって大阪に出ていたのだが、居ても立っても居られなくなり、空き時間の3~4時間を利用して映画館に『聖の青春』を観に行った。

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足を運んだのは、阪急神戸線塚口駅の南出口降りてすぐの『塚口サンサン劇場』。「東の新宿ピカデリー、西の塚口サンサン劇場」と並び称されたかどうか定かではないが、昭和の香りのするかなり渋めの劇場だ。

村山は幼いころから腎臓の難病「ネフローゼ」と闘いながら、将棋界最高峰のタイトルである「名人」を目指す。物語は村山七段が自身の住むアパート近くの道端に寝転んでいるところから始まる。題材が将棋ということもあるのだろうが、あまり派手な動きはない。かといって淡々と話が進む、ということでもなく、家族や師匠、棋士たちとときに真剣に、ときにコミカルにやりとりしながら進んでいくので飽きない。泣ける話ではあるが、無理やりお涙頂戴のストーリーにはなっていないところが好感が持てた。

あまりネタばれさせてもなんなので、 印象に残っているシーンを一つだけ。北海道だろうか東北だろうか北陸だろうか、高級旅館で羽生(東出昌大)と対局する村山聖松山ケンイチ)の姿があった。広い庭は一面に雪が降り積もっている。指し手の合間に羽生が窓から庭を見る。そこに肥えた白黒模様の猫が一匹、あらわれる。もともとは野生の猫だったのだろうか、ふてぶてしく、しかしながら人なつっこいような雰囲気も漂わせている。まるで村山聖がそのまま生き移ったような猫だった。この猫が、村山聖がなくなってから登場してきたら、それこそ興ざめだっただろう。

あとは、村山のセリフで「牛丼はやっぱり吉野家」みたいなものあった。さらに「お好み焼きは・・・」などと続いたのだが覚えきれなかった。ちなみに、羽生と村山が一緒に飲みに行った居酒屋の名前が「よしのや」だったことに気づいた観客はおそらく私だけだったろう(だといいな)。

 

映画『聖の青春』
原作:大崎善生
監督:森義隆
脚本:向井康介
出演者:松山ケンイチ東出昌大染谷将太安田顕柄本時生鶴見辰吾北見敏之筒井道隆竹下景子リリー・フランキー ほか